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Q11 個人事業主の休業損害の考え方

Q.私は大工で,個人事業主として仕事をしています。先日,交通事故に遭って怪我をし,数ヶ月間全く仕事ができませんでした。個人事業主でも,休業損害を相手方に請求できるのでしょうか。また,休業期間中も,リース契約している機械のリース料は支払わなければならなかったので,私が支払っていますが,この分の費用も相手方に請求できないでしょうか。

 

 ご質問への回答として結論を先に述べると,個人事業主でも給与所得者と同様に休業損害を相手方に請求できます。また,休業中にも支出を余儀なくされた経費は,やはり相手方に請求できます。以下で詳しく説明いたします。

 そもそも休業損害は,交通事故に起因する身体的・精神的な不具合のため,一定の時間仕事をできないようになり(完全に休むわけではなく,一応仕事はしているが,以前よりも著しく作業能率が落ちている状況等も含みます。),そのために収入の減少が発生する場合に,当該減収分を補償する意味合いのものです。したがって,個人事業主でも,実際に収入が減少しているのでなければ休業損害は認められません。

 休業損害の発生が事実として認められるとして,では具体的にいくらの金額を相手方に請求できるかという考え方については,最も直接的には「休業期間中に収入が減少した分」とするのが一つのやり方です。その他に,より簡易なやり方として,交通事故以前の収入額を基礎収入として1日当りの単価を算出し,その単価に休業期間の日数を掛けるというやり方もあります。裁判例では,いずれのやり方も用いられています。

 後者のやり方を用いる場合,交通事故以前の基礎収入はいくらで考えるべきかという問題がありますが,これは原則的に「直近の確定申告で申告した所得の額」となります(青色申告の特別控除額を控除する前の金額)。人によっては,年によって変動の波が非常に大きいということもありますが,そういう場合には直近の単年だけで見るのではなく,過去数年分の平均値をとった方が適切なこともあります。

 また,直近の確定申告の所得額よりも,交通事故当時又は交通事故以降の所得が大幅に増えていたはずだという事情がある方もいます。そういう場合は,直近の確定申告の所得額に一定の上積みをした金額を基礎収入とすることも認められる可能性があります。ただし,本当に所得が大幅に増えていたはずだという事情を,相当程度確実性のある根拠・資料で証明する必要があります。単に,口約束で大口取引を受注できる予定だったという事情だけで,簡単に認められるものではありません。

 また,人によっては,確定申告を全くやっていなかったので具体的に所得額を証明できないが,実際には一定の所得があるという方もいます。似たような話で,一応確定申告はしているけれども,申告していた金額よりも実際は多額の所得があるとして,その所得を基礎収入として扱うよう主張する,あるいは申告している経費は実際よりも多いとして(経費の金額が下がれば差引きした結果の所得の金額は増えます。),より少ない経費に基づく所得を基礎収入として扱うよう主張するという方もいます。

 これらの事情がある場合,いわゆる確定申告外所得そのものが一律に排斥されるわけではなく,個別具体的な事情のもとで一定の確定申告外所得が肯定されることもあります。しかしながら,納税義務という場面ではより少ない所得を主張しながら,他方で損害賠償請求という場面ではより多額の所得を主張するというのは,明らかに矛盾挙動ですから,自ずと裁判所の見方も厳しくなります。したがって,確定申告外所得が本当に正しい数字であることを,相当程度確実性のある根拠・資料で証明する必要があり,そのハードルは相当高いといえます。

 最後に,休業期間中であってもやむを得ない事情で支出を止められない固定費用は,全く無駄なお金を支払わされているわけですから,相手方に休業損害として請求できます。主な具体例としては,設問に出ているリース料や,事務所賃貸のための家賃,事業のために雇用している従業員の給与などがあり得ます。

 ただし,これらの固定費用の支出が休業期間中でも止められないということにつき,やむを得ない事情がなければならず,かつこれらの固定費用の支出を維持することが近い将来の仕事再開のために必要であるという事情がなければなりません。契約を解約してその支出をストップすることが容易であったのに,うっかりミスで支出を続けてしまっていたというようなケースでは,もちろん認められません。

 以上のとおり,個人事業主の休業損害の請求にあたっては,そもそも個人事業主という特性上毎月決まり切った売上が約束されているわけではなく,様々な要素に基づき変動があるのが常であることから,いくらの金額を損害額として計上すべきか,給与所得者に比べて難しい側面があります。ですので,個人事業主の方が交通事故に遭われた場合には,弁護士に相談することをお勧めします。当事務所まで,お気軽にご連絡をください。

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