自賠責保険と任意保険

1 強制保険(自賠責保険)

法律で加入が強制されている保険。自賠責保険(共済)。

2 任意保険

任意で契約する保険。

3 自賠責保険の支払対象・限度額

(1) 支払対象

 被害者の生命又は身体に関する損害(人損)のみが支払対象であり,物損については支払い対象ではない。

(2) 支払限度額(平成14年4月1日以後に発生した事故)

 傷害:120万円

 後遺障害:75万円から4000万円

 死亡:3000万円

4 任意保険加入の場合

(1) 一括払

 任意保険会社が請求者に,自賠責保険分も含めて一括支払を行い,その後に自賠責保険会社に請求するという取り扱い。

(2) 示談代行サービス

 被害者との示談交渉を被保険者に代わって行ってもらうサービス。

 

人身傷害補償保険

1 人身傷害補償保険とは

 人身傷害補償保険は,被害者(被保険者)の過失の有無・割合に関係なく,約款所定の基準(いわゆる「人傷基準」)により,算定された損害額に基づいて,保険金が支払われる保険です。
 被害者(被保険者)が自動車事故により,死傷した場合に,保険金額の範囲内で実際に生じた損害額を,過失相殺による減額をせずに自分の過失分を含めて,被保険者自身が契約している保険会社から保険金を受け取ることができる保険です。

 この保険は,相手がいる事故か単独事故かを問わず,保険金額を限度として,実際にかかった治療費,休業損害などの損害額全額を支払う(実損払いの)傷害保険です。また,自動車事故で当事者双方に過失がある場合については,通常,相手方から支払われる損害賠償金は過失相殺が加味されることとなりますが,この保険を契約していれば,過失相殺による減額をせずに自分の過失分を含めて,相手方からの損害賠償に先行して保険金を受け取ることができます。

 すでに相手方から自賠責保険金や損害賠償金などを受け取っている場合には,約款に基づき算出された実際の損害額からそれらを控除した額が,保険金額を限度として支払われます。

2 人身傷害保険における被保険者 

 多くの約款では以下のように定められています。

(1) 記名被保険者及び一定の親族(記名被保険者の配偶者,記名被保険者またはその配偶者の同居の親族,記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子)

(2) 契約自動車に搭乗中の者

(3) (1)の者が運転中の自動車に搭乗中の者

3 人身傷害保険における問題 

 請求方法(人傷を先行させるか,賠償をさせるか),人傷基準が裁判所基準よりも低いこと,代位・控除の範囲等に関して様々な問題があるため,約款・裁判例の確認・検討が必要です。