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Q.会社から自宅に帰る途中で交通事故に遭いました。この場合、労災保険を使うことはできるのでしょうか。
結論として、業務遂行中又は通勤中に発生した交通事故で受けた損害の補償で、労災保険を使うことは可能です。ただし、いくつか条件があります。
第一に、人身に対する損害(以下「人損」といいます。)が発生していることです。車両が壊れた等の物的損害には、労災保険による補償はありません。
第二に、その交通事故が「業務災害」又は「通勤災害」に該当することです。仮に、交通事故が発生したのが会社から自宅に帰る途中の出来事だったとしても、会社から自宅を結ぶ合理的な経路から逸脱したルートで起こったケースであれば(例えば、友人とカラオケ屋に寄ったケース)、「通勤災害」として認定されないこともあります。
第三に、所轄の労働基準監督署に「第三者行為災害届」を提出することです。ただこの手続は、あなたが個人としてやるよりも、あなたの会社の労災を担当する部署(人事課や総務課など)を通してやるという形になっていることも多いでしょう。
ここで、労災保険を使うのは、先に自賠責保険の給付を受けてからでなければならない、と言われた人もいるかもしれません。これは確かに、自賠責保険の給付を労災保険よりも先行させるべしという通達が存在するからだと考えられますが、しかしこの原則は絶対的に守らなければならないものではなく、事故に遭った被害者の意思で先に労災保険の給付をもらいたいという場合には、その意思が尊重されます。ですので、労災保険を先に手続することも可能です。
では、労災保険と自賠責保険は、どちらを先に手続した方がメリットが大きいのか、という疑問が湧きますが、実はこの問題はケースバイケースで答が異なり、誰でも一律に同じ答があてはまるわけではありません。
簡単に、労災保険と自賠責保険の違いをいくつか述べておくと、①労災保険では、休業損害の一部や慰謝料などは補償外とされる(ただし自賠責保険でも休業損害については金額の上限がある)、②治療費の対象は労災保険よりも自賠責保険の方が広範囲である、③自賠責保険では、被害者の過失が大きいときは過失割合の減額がされる、④傷害事故に対する自賠責保険の給付限度は120万円とされているが、労災保険では限度はない、などの点が挙げられます。
ですので、その点で迷った人は、弁護士に相談することをお勧めします。当事務所では、豊富な経験に基づき、依頼者ごとに最適な解決案を提案しております。
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